根来塗
伝統の技が光る紀州根来塗
朱塗りの器にかすりの黒模様が美しい伝統的な根来塗。そのルーツは正応元年(1288年)まで遡ります。現在の和歌山県岩出市にある根来寺で当時の僧侶衆が寺用の膳や盆などを作っていたところ、技術上の不手際から朱塗りの器にかすりの黒模様が生じ、偶然ながら美しい器が生まれました。これがかえって趣あるものとして喜ばれ、故意に工夫して表面の朱を研ぎ破るような技法が発展していきます。その後、この技法での塗りがいつの間にか「根来塗」と称され、変り塗の重要な一手法となりました。島安ではこの伝統を守り、今でも職人の手でひとつひとつ作り上げています。朱と黒のコントラストが美しい紀州根来塗は、永く愛用できる品として今も変わらず皆さまにに愛され続けているのです。